どう生き どう死ぬか―現場から考える死生学
岡部 健/竹之内 裕文編他弓箭書院
弓箭書院
¥ 2,100
在庫あり。
死を学際的に研究した本としてかなりよく出来ている。ここしばらくの死生学ブームにより、様々な専門分野の人が死について色々と論じているが、少なくとも著作の上では、分野を越境した思考の交流はあまりなかった。東大出版会の死生学シリーズなどはどれもたいへん興味深いが、自由研究の寄せ集めである。
<br />本書はこの不足を埋めた。ホスピスでのフィールドワークに基づく論考を軸に、人間にとって死とは何かを、哲学・心理学・教育学・社会学・宗教学・文学などの観点から複数の執筆者が相互にリンクをはりながら論じている。私が死ぬこと、大事な人を看取ること、この両方について具体的にも抽象的にも参考になる論述が少なくなく、勉強になる。
<br />あくまでも終末期医療という現場の実践を重視しつつ、しかしそこから広げて人間をとりまく死の文化の奥深さを問い深めていく。臨床の知としての死生学の、ひとつの模範となる一冊であろう。
松居直のすすめる50の絵本―大人のための絵本入門
松居 直教文館
教文館
¥ 1,365
在庫あり。
福音館書店の社長として、素晴らしい名作絵本を、もう数え切れないくらい世に送り出してこられた松居さん。あなたの功績は偉大であり、昔から敬服しております。そのステキな絵本の数々は、子供たちの心の中だけでなく、それを読み聞かせた我々大人たちの心にも、鮮やかに刻まれています。例えば赤羽末吉。例えばハンス・フィッシャー。私は独身だった頃、あの芸術的で素晴らしい挿し絵を初めて本屋で見たときの感激を忘れることはできません。あれから20年近く経ちましたが、いま我が家では松居さんが世に送り出した絵本たちをリビングやトイレなどに置いて、娘とともに毎日繰り返し眺めております。先日TV番組の「たてもの探訪」(テレビ朝日)にて、松居さんのご自宅(著名建築家による名作建築、白の家)を拝見しました。本物を知り尽くした松居さんらしい、とてもステキなお宅で、奥様と幸せそうに暮らされていることを知り、嬉しかったです。本棚にどんな蔵書があるかも楽しみでしたが、ハンス・フィッシャーがあり、また嬉しくなりました。
食料植民地ニッポン
青沼 陽一郎小学館
小学館
¥ 1,575
在庫あり。
著者は、輸入食料について、二つの危機を説きます。
<br />(1) 安全性
<br />(2) 調達の量
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<br />(1)について。日本はアメリカの植民地も同様で、ポストハーベスト(収穫後の農薬噴霧)にしろ、BSEにしろ、アメリカ様の言いなりです。
<br />(2)について。今、食料は売り手市場となっていて、うるさい注文をつけて、しかも安く買いたたこうとする日本は、世界各地で買い負けしているそうです。
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<br />中国産毒入り餃子事件で、日本は散々中国を批判はしましたが、では中国から輸入するのをやめてしまえ、とはなりませんでした。
<br />やめるにやめられないのです。中国ぬきでは、もはや日本は食べていけないのですから。
<br />その意味で、アメリカだけではなく、中国の植民地にもなりつつある、と著者は指摘します。
<br />
<br />読み終わって、嫌な未来を想像しました。
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<br />「へい、日本人、三回まわってワンと言え。そうしたら、この餃子、売ってやる」
<br />と中国人に言われ、日本人が泣く泣く、その通りにします。
<br />「ははは、そら食え。這いつくばって食え」
<br />中国人が地面に撒き散らした餃子を、言われた通り、犬のように這いつくばって食べます。
<br />「うまいか。うまいだろう。ゴミから作った餃子だよ。お前らにはそのくらいで十分だ」
<br />中国人が高笑いします。
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<br />・・・もうじき、そんな光景が見られるかもしれません。
<br />日本の未来は、とても暗いです。
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ヨーロッパの都市はなぜ美しいのか
佐野 敬彦平凡社
平凡社
¥ 1,995
在庫あり。
本書は建築芸術学の研究者による、ヨーロッパ、特にイタリア・フランスの都市の美しさを考察したエッセー集です。
<br /> 都市の造形が語られるとき、今日では普通、都市計画や景観論的な観点からトータルデザインとして語られることが多く、そのために高さ規制によるスカイラインの統一や、色彩・テクスチャの統一、土地利用規制など、計画的な統一性とバランスが求められがちです。しかし、本書で紹介されているイタリアの丘の上の昔ながらの小都市やローマの広場、噴水、パリのパサージュやアールヌーボー建築は計画的なものではなく、各時代ごとに表現された建築物であり、美です。本書はその特徴をスポンタオーネ=イタリア語でたくまざるうまさ、自然な感じのおもしろさ、とよんで評価しています。本書で紹介されているこれらの国々の美しい都市には、計画的な土地配分もまっすぐな道路も統一されたスカイラインも無いことを考えると、近代都市計画や景観論とは別の都市デザインのあり方もありうるのだなと気付かされます。
プルースト『失われた時を求めて』を読む (NHKシリーズ NHKカルチャーラジオ・文学の世界)
鈴木 道彦日本放送出版協会
日本放送出版協会
¥ 900
在庫あり。
「失われた時を求めて」未読の方が、アウトラインを掴むために読むのにおすすめ。
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<br />よく読書指南書を読むと面白みがなくなると言われるが、「失われた時を求めて」はあまりに大著で簡単には攻略出来ないし、内容も文学初級者には理解しづらくすぐに挫折してしまうのが目に見えている。
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<br />そこで歴史的なことや人物像を含め、少し知っておいた方が深く読みこなすきっかけとなるであろうから「失われた時を求めて」を読んでみたい方は一読をしてみるとよいであろう。もし何か疑問があればまた原著を読んで行けばよいのであるから。
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<br />なお、ラジオを聴かなくてもわかるように作られているのでご安心を。